慶應義塾大学との共同で、廃棄物処理シミュレーター「対話型AI版」を公開しました

慶應義塾大学とUMT株式会社は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」の地域共創分野・本格型プロジェクトのひとつ「リスペクトでつながる『共生アップサイクル社会』共創拠点」において、一般廃棄物処理施設の将来計画を支援する未来シミュレーター「対話型AI版」を公開しました。
本システムは、神奈川県を例題に、自然言語でさまざまな質問を投げかけるだけで、2050年までのごみ量の予測から、施設のごみ処理量、適切な広域連携の可能性探索と試行までを行うことができます。中長期の将来計画を立案する初期フェーズや、教育的な場面で有効に活用できるものとなっています。
開発の背景:国立環境研究所「一般廃棄物未来シミュレーター」の姉妹版として
本システムは、2025年11月に国立環境研究所が発表した「一般廃棄物未来シミュレーター」の姉妹版として、対話型AI機能を追加・発展させたものです。ベースとなった「一般廃棄物未来シミュレーター」は、一般廃棄物の排出・資源化・処理状況の現在および将来の推計データを搭載し、自治体における今後の廃棄物処理や施設整備の検討を支援する目的で開発されました。
本格的な人口減少時代を迎える日本各地において、ごみ処理の広域化や廃棄物処理施設の集約を進めることは急務となっています。本システムは、こうした課題を視野に入れ、単一および複数の市町村における廃棄物処理と資源循環、施設整備の検討を支援します。
「対話型AI版」の主な特徴
今回の「対話型AI版」では、ユーザーインターフェース(UI)を全面的に見直し、自然言語で質問を投げることでさまざまな操作を柔軟に行うことが可能になりました。開発にあたっては、国立環境研究所の担当研究者とも意見交換を重ね、連携して取り組みました。
- ブラウザ完結:推計データの可視化・分析操作をブラウザ上で行えるシステムであり、インストール不要・URLを開くだけで利用可能
- データ常駐型アーキテクチャ:33市町村の全データをAIが常時活用可能とする独自設計により、高速かつ正確なデータ参照を実現
- 対話的なデータ可視化:LLMによる文章のみの回答ではなく、質問内容に合致したインタラクティブなデータ可視化を同時生成
- 根拠データのダウンロード:生成された回答の根拠となるデータをダウンロード可能で、さらなる深掘りを支援
これにより、自治体職員や専門家のみならず、学生や市民の教育ツールとしての活用も見込まれます。「ごみ処理」というすべての人の生活と直結しているテーマを題材に、情報系・データサイエンスから政策系・まちづくりまでさまざまな領域での学びを横断し融合できる可能性があります。
現時点では本システムは神奈川県に限った公開としていますが、ブラッシュアップを続けながら、日本全国の現場や学校等への普及展開を目指していく予定です。
本プロジェクトについて
本プロジェクトは、慶應義塾大学を代表機関として、幹事自治体の鎌倉市と参画企業、大学との共創により立ち上げられました。2021年度に前身となる「デジタル駆動超資源循環参加型社会共創拠点」がCOI-NEXT地域共創分野・育成型プロジェクトに採択され、2023年3月のCOI-NEXT地域共創分野・本格型プロジェクトへの昇格に伴い、現在のプロジェクト名称に改められました。2032年まで最大10年間の活動を計画しています。